36.冬から夏へ チューリッピからシンガポールへ着くなり鼻血。 空港内のマクドナルド前のベンチに、ハニーは座り込んだ。 雪に降られセーターの上にヤッケを着込んでいた寒いスイスから、赤道直下の熱帯へ。 この温度差に体がついていかない。 昼の街には出られず、減圧室で潜水病を直すように、ヒルトンホテルの部屋で俗世間の夏に近づける。 屋上バーでのトロピカル風のウエルカムドリンクやプールの風景全てが、ボーと別世界のものとして目に映る。 「良かったよな冬は」などと考えていた。
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