エトワール広場の凱旋門からシャンゼリゼ通りを歩きはじめた。ブランド商品のウインドをのぞきながら、ソフトクリーム(10FF×2)をなめ、ディーラーでシトローエンに触れ、足が疲れてマクドナルドで喉をいやした。
エリゼ宮辺りまできて、急に大粒の雨が落ちてきた。
並木のマロニエの葉の下へ隠れてやり過ごす。大きな葉がかなりの雨まで受止めてくれる。
しばらくするとポツリポツリと雫が落ちてきた。しかも葉の埃を洗った黒い雫が・・・・。
耐えられなくなって、小降りになったのを見計らって近くのグランパレまで駆け出した。
途中からまた激しくなって、木から木へと渡りながら、ぬかるみを避けて走る。
最後は石造りのグランパレの軒下を走る。
辿り着いたホール左の石段に腰を下ろして、雨が通り過ぎるのを待つ。石のいかめしい玄関の奥はガラス屋根の展示場。何やら催し物をしていたが、そんな目的はない。
しばらくすると一見して日本人の熟年夫妻が、同じ目的で我々の右前に腰を下ろした。歳の頃なら５０過ぎ。
「雨に降られるとお手上げですね。」
定石通り共通話題で話しかける。
ブリティシュ・エアーでロンドンに着き、交通ゼネストと戦って、パリはカルチェラタンの一つ星の安宿へ泊まっているらしい。
観光ポイントへの移動に手を焼き、市内観光のバスに乗ろうと思っているという。
「メトロを使えば、３日間でもかなりのポイントを回れましたよ」
と後輩達にアドバイスして、ホテルで貰ったパンフレットを進呈する。
なにしろ我々は今晩パリを卒業してスイスに向かうんだ。