田舎修理工場都会へ・・・筑波参戦!








39年分?の配線修理



39年前の家庭電器製品をお持ちでしょうか? なら・・・?仮に現在現役?使用中として、

配線の状態は?そして、その機能や如何に!なんて、感じ?の ホンダ S600 配線修理編 です。



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前回修理終了時試運転実施の折、頻度は低いですが、電装関係の異常を確認していました。

ついに?始動しなくなったヨ!  オーナーから救援依頼が入りました

ガレージに引き取りに行き、早速、現状把握に取り掛かります。この種の故障は、移動させたり、何かしら各部を作動させたり、

ごそごそ?やっていると、復帰してしまう事が多く、異常発生直後に、十分な現状把握は欠かせません。 

1)燃料ポンプ作動せず。
2)点火火花が出ていない。
3)ホーン、その他の電装品は作動。
(1)(2)が始動不能の原因で、(3)が現状。

サーキットテスターで、各部の電圧をチェック。コイル、ポンプ共に電圧は、約12Vをキープ。
なぜ作動しないの? と単純に思えないのが この職業の悲しさ!
コイルの配線を繋いで測定すると、2V程度しか有りません。(コンタクトポイントが閉じた状態)

配線に電圧アリ。機材接続後、動作ナシの場合・・・最悪のケース が想像できるからです。 




以下、最悪のケースの?修理作戦開始!


配線が、完全に切れてしまえば、当然ですが、電圧は、0Vです。
配線開放状態で、12V有るのに、作動しない場合、さらに、線を繋ぐと、極端に電圧が落ちる。の症状は、殆どの場合、

配線がこんがり?焼けている!って・・・想定可能(涙)

工場に持ち帰り、各部の再点検。

メインキー側のの白色の配線のコネクター部損焼損。でも、今回の症状とは、内容が一致しません。

グルグル巻きの、黒いビニールテープを取ると、出て?きました!

同様に<黒/黄>の配線が、こんがり?焼けています


文句を言わずに、ココを直せばいいじゃないか! ピンポン〜!正論です。・・・が、気が重い?のです

経験上、この配線損傷が、この部分のみとは、とても思えないからです。

線は繋がっているんだヨウ!、電源から、アースまで!(その上に、ぐるぐる巻き?!)気分が重くなり、逆切れ状態?です!

ハーネス(配線の束)に手を入れなければ・・・しかも39年前の焼けた配線!・・・重圧が、重く!のしかかります。



焼け方と、現在の状況から判定すると完全ショート=発火している!とは異なります。

エンジンハーネスの<黒/黄>の線を追って、テープを剥がすと、
レギュレーター付近が焼けています。(そしてレギュレーターが交換してある様です。)

現状では“単なる想像?”ですが、ライトが暗い場合、レギュレーターのポイントギャップを過度に高め方向に調整すると
この付近が派手に?発熱する場合があります。
(オルタネーターのフィールド電流が極端に大きくなる為です・・・経験済み?!

反面、コイルの配線(黒・黄)は汚れてはいますが、焼損は見られません。

<キースイッチ>
 →
(分岐)
 →
<コイル>
<フーエルポンプ>
<レギュレーター>

 この配線表の スイッチレギュレーター間 に過去に小規模なショートが発生した様です。(レギュレーター不良か、電圧調整に失敗??)

焼けた配線に、追加巻き?テーピングがありました。(前作業者も、気が重かった?)



現状把握からこの後作業方針決定。

左図の大きさで、30代までは不都合なく解読できました。
現在は、右まで拡大しないと、視力と脳内部?が

激しく 拒絶反応?を示します。(涙)

焼けた<黒/黄>の配線が、他の線と溶着している可能性があるので
このケースは、迷わず?ハーネス交換 が、安全策ですが、S600の場合、部品調達が、時間的、資金的に、難易度大。
ハーネス内部を点検後、この線をバイパスする!って方法が 現実的・最終結論。現状では、これ?以外、作業の選択枝はありません。 

バイパス配線を、鉄部分に触れない様に配置する作業中に、
赤丸の部分に、「醜いケロイド」?が・・・。(これこそ古傷?)

見なかった事に!って訳にはちょっと・・・(黙)

配線分岐でもなく、<黒/黄>の単線が、この部分のみ発熱。

小規模短絡は、束ねてある部分は、熱が周りの配線に吸収されて、前記の様に、
キーや、レギュレーター付近の開放された部分が発熱焼損
こういう場合単線且つ内部での発熱は、(配線分岐部分以外では)珍しい事案です!

危惧された溶着はありませんでした。(安心!)

その昔、ホンダの下請工場。ハーネスを組んだ お姉さん が、何かの不都合で芯線を少し折ってしまい、
一部抵抗値が大きくなり、今回の様に発熱焼損した様です。(何でお姉さんなんだ?)  

配線を切り接いで、テーピング後、カバーを取り付けて終了です。

キー周りの配線とコネクターをすべて、交換後、
問題の<黒/黄>の配線に、Fuseホルダーを追加取付。

ちょうど右足上部に着くので、交換時、便利です。

ポンプ・コイルの配線にヒューズが無い事に、この時代の価値観を感じます。
(世論はこの頃、車両火災に対して寛容だった!?)

ハーネス専用のテープ
(マツダの下請け工場から購入・・・笑)

・・・で被服し、各部の復元作業です。

39年分の積もったホコリ を、この際、拭き掃除!

ダッシュのメーター裏側ハーネスも、整理してバンド止めします。

左映像は、電流計後部です・端子を交換して、配線と各端子、取り付けナットをハンダ付

この部分をハンダ付してもハーネスの大きなコネクターを抜けば、
この後のメーターパネルの脱着作業は容易です。危機回避?を優先します!)

セルモーター以外で最も大きい電流が流れる配線ですが、(滅多に外す事は無い!)
最も無防備で、接触焼損しやすい箇所です。全流式電流計の泣き所


このあたりで、休憩時間。非喫煙者なので「一服!」とは絶対?表現しません!)

休み休み作業しないと、歳老いた有機物製のハードディスクが、発熱損傷 します!(持続力が無くなったなぁ〜!)

配線修理・後半戦に続く・・・・。






数日の頭脳冷却期間の後、ユーザー委託分 Part2 「ヘッドライトが暗い!」の修理開始!


パーキングスイッチを機械的に切替える、
ビックリする機構のスイッチですが

黄色の↓部分が大きく損傷。

アーム部の接点も大きくエグレて、(特にヘッドライト接点)接触不良になります。


部品状況より、今回接点位置を電流量が少ない場所に移動し、組付ました。

この作業の説明は、以下の taaさん のホームページにも説明があります。
http://www.kyoji.co.jp/hobby/car/s6-20.htm

「ライトが時々・」なんて場合、この部分が多い様です。(私のS6も同様に修理しました。)


音・機構・構造に執着を持つ反面、
外装・歴史・史料価値に無頓着な私とは全く異なる、

バランス感覚溢れるホームページです。
(特に39年式・S600の詳細な内容にはビックリです!)

S600/39’マイスター!


製造方法の関係?と思うのですが、裏の配線部分に「ハンダ付け」と「金具」を使い分けてあり、

「この金具+薄いハンダ」の部分が発熱で接触不良になりやすく、追加で半田付けします。

部分の様な箇所が各部にかなりあります。
とりあえず今回依頼部分のライト関係のハーネスに絞って修正。現実的選択です。(言い訳かも!)

39年間に及ぶ経年劣化。 “採算意識との間で揺れ動く、修理屋さん達の激戦の跡”でも?あります。

各所作業跡=個性ってモン。数十年後の同業者?には、参考書!
下の映像では、をフラックスを使用してハンダ付けしてあり、
更に折れてむき出しになった部分をハンダを浸透させてテーピング処置。

酸の腐食か?接触抵抗か・・きわどい決断。 ・・・ソレはそれとして・・?

2006年の田舎工場としては、非常に(非情に?)苦手な状況(笑)
なんですが、・・クソまじめに、ライト関係、すべての端子を処理。

最近の丸型ヘッドライトが当時の物より左右で20W程度(Hi側比較)明るい事と、
ライトスイッチの接点負担も考慮して、リレーを取り付けます。(リレーは損傷してもスイッチを守ろう!の発想!)

結果的に?ライト光量も上がってGood!

配線を自前作製するより、時間的にもコスト的にも結局安価。
BOSH製のライトリレーキットを配線加工して取付。

(ユーザーが黄色や青の派手な配線カバーが嫌いなんです!)

セルのマグネットS/Wの白/赤の配線は、車両の電装品すべての電源。
(ターミナルを交換して、ハンダで処理。)

同様にこのS/W取り付け部(赤矢印)に共締めの黒色の配線が、
この車両ハーネス内部の唯一のアース線(黄矢印)です。(部品本体を除く)

これも同様に処理。

旧い車両には、右のタイプの真鍮製や銅製のターミナルに交換してありますが、
脱着を繰り返す際にバッテリーの+側を以下の様に変形させる場合があります。

段付き変形した+ターミナル締まらない!   →

今後のトラブル回避の為、迷わず?最近のプレスタイプのターミナルに交換。
バッテリーも同時に交換です。!(後のトラブルを考えたら、バッテリーは安い!)
各ターミナル部はカシメて、薄く、ハンダ!  鉄則です






この作業後、ユーザーの定期集会があり、一度納車しました。燃料ゲージの不調については、メーターパネルの裏側配線の不良を発見。
以前の配線周りの異常症状と一部一致しない部分(Fuseの内、2本が突然切れる!)がありますが、普段は正常なので、対応策がありませんでしたが・・。


以下はその Fuse切れ・修理 の顛末記です!



450kmの走行を経て、定期集会?から帰宅されました。

駅で、お土産を買っていたら、突然、ヘッドライトが切れて、テールランプがつかない!」(ウインカー・はOKエンジン等は問題なし!)・・の緊急連あり!

「Fuseを入れ替えても、飛んでしまう!」と = 確実に把握する!! のは 今しか無い! ユーザーには失礼なハナシですが(苦・苦笑)

そぉ〜と?持ち帰り現状を確認。Fuseを消耗するムダを省き、電流系をFuse端子に繋いで点検。
キーOFFでも端っこのFuseが短絡。 大丈夫、まだ?ショートしている!発熱するので一瞬の勝負。
その電流値から判定すると、完全な短絡状態。  配線図と格闘し、症状より、考えると

キーONで点灯のライト周りの配線(前後パーキング、ルームランプ等) 
キーOFFでも点灯のライト周りの配線(テールランプ、フロントクリアランスランプ等)

どちらかの一部に問題があると判定。(更に、この2種類の配線が同時に存在するのは、ライトスイッチ以降?)

キーOFFで繋がるFuseに電流計接続。短絡箇所を特定する為に
後部のテール配線に特設コネクターを作って、これを断続して、電流値から、場所を探索。

この部分を切ると、短絡停止 = 後部配線部分短絡 です。

特設コネクターを接続し
更にテールライト配線を外しますが、短絡は続きます!

まずいな。ハーネス内部だ・・・。

・・・と落ち込んだ気持ちで配線図を見るとある事に気が付きました。 S600は、パーキングスイッチONで、ライセンスランプが点灯する?構造です。
TOYOTA・NISSAN車両は、パーキングS/W・ONでライセンスランプ不灯!(現在パーキングS/Wは法的装着義務は無し。)


これにて一見落着!

   

金さんの気分!)

ライセンスランプの配線を取り付けナットの角と、ボデー間に挟んでいました。
だから、常時短絡しなかったのか!(配線被服と、ナットの角の接触具合で変化する!)

しかもトランクキャッチ部分と共締め構造。ライト点灯時にトランクを閉めるとFuseが切れる!!
(判ってしまうと、割と安易〜です。何事も。)  でも?これだけは明らか!

たまにしか発生しない故障は・・かなり面倒。(こりゃ、言い訳ではありません!)

この折に(同じ場所!ついでに!)オーナー依頼の「トランクのガタ」を修理。 締まりが甘い時は、

この部分にワッシャー等を追加すれば調整可能ですが、締まった後にガタがあるのは、少し面倒。

キャッチ部分がロック解除ボタンと共締めですので、簡単には、下げられない!
3箇所長穴加工の大ワザも考えられますが、過度に大ワザ?で当方では(笑)

補給部品や、板金の兼合いで発生する事もある様ですが、詳細な事は不明。
以前何件か見た事があります。(上記の大ワザも!笑)
まずは、噛み合い部を約5mm下げれば解決。

人差し指と親指のような部品?の位置決めのプレートを修正・加工して、位置を下げます。

39年分のトランクの開閉(笑)で、

磨り減り、曲がっています。

真っ直ぐ修正しただけでは、足りないので、TIGで肉盛り溶接しました。
(小さい部品の溶接は・・・目が疲れます!)

一般の方?は、メッキを剥いで、小板をハンダ付けする手法もあり?

トランクゴムを交換した際を考慮して若干楽に締まる程度?にしました。


エンジン修理の折、気になっていたのですが、ミッション最後部と車体間の隙間が、4mm程度しかありません。

この部分の数センチ上付近を、後部向けのハーネスが通過する為、僅かですが、ハーネスに接触しています。
(マウント関係のコンデションの問題と思います。)

現在短絡・断線なしですが、今後気味が悪リ〜い?ので、
この部分を避けて、室内通過?する様に加工。

ミッショントンネル付近を通過しますが、シート等の接触も無く、安心です。

ボデー壁通過部分はグロメット入りです。


今回最後の作業依頼分ですが、
左ワイパーのガタ修理内容です。水の浸入で錆び付き、
シャフトとブッシュが一体化しています。
これを無理やり回すので、キャップナットが緩んでガタつきます。


ホンダS600に限らず、旧い車両ではよくある?修理?

ホーニング後給油して終了。

右側も施工しました!






39年分の配線修理・総括!(笑)


新車登録して約40年。いろんな事があった様です。
最初購入したオーナーの方から、数人を経て今のオーナーに・・。走っていた地域も、全国的に広がっている?
当然、修理する人もその都度、交代。(39年の内には、既に亡くなった方も・・・!)同業者故に、修理の痕跡に「さまざまな人柄」がチラチラ。

代わっていく各オーナーの気持ち、各時代の修理屋さんのイライラ感・・etc (ついでに高額な修理代を見た、奥さんの顔まで!)

昭和40年代初めから〜平成の現在まで・・。(ひょっとしたら最長41年?)

昭和40年・小学校高学年だった私が、23歳の頃に買った赤のS600。「ガキっぽく危険な6年間」を共に過ごしたCB400Fを下取り!

S600を売却。 そして今回、このS600の修理依頼。

所詮、金属・プラスチックやゴム製品の塊・・・極端な大騒ぎ?はいき過ぎ!と思いますが、

この車の過ごした、網の目の様に絡んだ人間関係と昭和を経ての約40年。色々あったけど・・まぁ〜良かったナ!と一瞬?思って?しまいます。

HONDA Sports だから引き継がれていくんだ!なんて、偏った志向の偏った人間関係も、旧車趣味も

悪かねぇ〜な!  過度に純粋なヤツは面倒だけど!(笑)


・・・なんて、とぼけた頭で、ぼんやり?思いながら、明日からも・・・仕事は?続きます。




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