38.屋台にてその2
湾を隔ててライトアップされたマーライオンが小さく水を吐いている。エリザベス・ウォークの海辺を歩いて着いた屋台はさすがにスケールがでかい。
春巻とカキ玉と焼きそばを食べていると、欧米人の夫婦が、「相席していいか?」
もちろん「どうぞ」で、自己紹介やら民族性の話やら会話がはずんだ。
彼らはドイツ人の新婚さん。
「フィリピンは汚かった」「日本は何もかも高いね」
「フランス人は食べるために働くが、ドイツ人は家を持つために働く」
「日本もそうですよ」
「ヨーロッパのパンとソーセージとハムがおいしかった」
「ハム?」
「フランス語でジャンボン」「ドイツ語では・・・忘れた」
「ソーセージよりでかくって・・・」
「フランクフルト?」
「じゃなくて、もっと太いやつ・・・」結局ハムは通じず。(正解はシンケン)
「なぜ子供を作らないのですか?」
「そんなこと聞いちゃ失礼よ」横で奥さんがたしなめる。
ビールで上気した彼らは、ドイツ人というよりアメリカ人の陽気さ。
椰子の実を買ってきて、ハニーと二本のストローで飲んでみた。
ほんのり甘いが青臭くて、とても「おいし〜」とは言えない。
「あまりおいしくないでしょう」ドイツ人の夫妻も試し済みのようだ。
近くで焼き鳥を焼くいいにおいがする。
指を一本出して「焼き鳥」と言ったら、しばらくして15〜16本をどさっと席に持ってきた。やられた!
カレー風味の甘ったるい味付けである。「食べきれないから、ご一緒にどうぞ」
もう腹いっぱいのご様子で、手を出されず。9ドル(\650)はもったいなかった。
夜も更けたので一足お先に失礼し、地下鉄で宿へと向かった。