東京女子医科大学 小児科 伊藤 進 先生に「てんかん患児のビデオ脳波同時記録検査」というテーマでご講演いただきました。

2017年3月に国際抗てんかん連盟はてんかん分類および発作型分類を改訂しました。今回は、新たな発作型分類に基づくてんかん患児の発作時ビデオ脳波を提示いただき、大変分かりやすく解説していただきました。

●てんかん分類の枠組み

てんかんは以下のように分類されます。

焦点性起始 全般性起始 起始不明

意識障害なし 意識障害あり 運動性 運動性 (1)強直間代  強直間代

運動性起始 (2)間代 (3)強直 スパズム

自動症、脱力、間代、スパズム、過運動、ミオクロニー、強直 (4)ミオクロニー

非運動性 (5)ミオクロニー強直間代 動作停止 (6)ミオクロニー脱力

非運動性起始 (7)脱力 分類不能

自律神経性、動作停止、認知性、感情性、感覚性 (8)スパズム

非運動性(欠神) (1)定型  (2)非定型

焦点性からの両側強直間代 (3)ミオクロニー (4)眼瞼ミオクロニア

*全般性:右脳と左脳の同時にはじまるもの。(「脳全体が一気に巻き込まれる」いう意味ではない)

*焦点性:右脳または左脳のどちらかからはじまるもの。

●「全般性」「運動性」

(1)全般性強直間代発作→ 一般的に「痙攣」と呼ばれるもの。

脳波では、全般性の左右対称性の棘徐波複合が出現、臨床発作に移行し、脳波全体が筋放電で判読が困難となったあと、後カクカクとした間欠的な筋放電がみられる間代けいれんとなり、最後は終結し抑制的な脳波となる、といった流れをとる。

一次性か二次性かは、ビデオだけではわからず、脳波を判読することで診断がつく。

(2)全般性間代発作(例:ミオクロニー失立(脱力)発作てんかん)

純粋な間代発作のみのてんかんは まれで、小児の場合はミオクロニー症候群を疑う。

(3)全般性強直発作(レノックス・ガストー)

突然 体幹に力が入り、強直が始まる。レノックスガストーで必ずみられる発作。

(4)ミオクロニー発作(例:乳児(良性)ミオクロニーてんかん、若年性ミオクロニーてんかん)

覚醒時に、一瞬の筋のピクツキが起きる(睡眠時に起きるのは生理的なもので正常)。朝、ご飯を食べているとき茶碗を落とす等で気づかれることが多い。

(6)ミオクロニー脱力発作(例:ミオクロニー脱力(失立)発作てんかん*過去にはDOSE症候群とよばれたてんかん)

筋のピクツキのあと脱力がみられる。筋電図では筋放電の後、筋放電の途絶がみられる。屈曲筋優位のため、前方に倒れる。

*ミオクロニー発作(ピクツキだけ)との鑑別はビデオだけではなく筋電図で鑑別する。

治療方法が異なるので注意を要する!

(7)脱力発作(例:ミオクロニー脱力(失立)発作てんかん)

重心のかかった方に倒れることが特徴。

筋電図では筋放電が途絶するのみ(しかし真の脱力発作のみは比較的まれ)。

(8)スパズム(例:ウエスト症候群)

脳波での診断は困難である。足と頭が屈曲し拝むような発作が間欠的にみられる(シリーズ形成)不自然で間欠的な筋放電が認められたら、ウエスト症候群を疑う。発症後一か月以内の治療開始が望まれる。見逃してはいけないてんかんの一つ。

●「全般性」「非運動性」→ 欠神

(1)定型(例:欠神発作)

3Hzの全般性棘徐波複合が前頭部優位に認められ、3秒以上続くと発作に至る。

(2)非定型(レノックス・ガストー症候群)

臨床発作がわかりにくい。脳波で2.5Hz未満の全般性棘徐波複合の出現で診断。 

●焦点性

*以前は「部分てんかん」とよばれていたが、焦点 という呼び方に統一された。

*強直発作、間代発作という用語は焦点性起始でも使われるようになった。

*意識障害の有無は子供の場合判断が難しいが、その場で返事ができるかどうか?のみならず、後で思い出せるかどうか?というのも、判断材料になる。

*体幹に近い近位側を動かす場合→過運動発作、遠位側(手先等)動かす→自動症と区別。

(1)「焦点性」「意識障害あり」「運動起始」「間代」(例:ローランド発作)

中心・側頭部に棘波を示す良性てんかん(BECTS)

顔面と、上肢の間代発作、また喉を鳴らすのが特徴。

棘(鋭)徐波の特徴は、徐波が棘(鋭)波 を超えない(徐波が低振幅)。

(2)「焦点性」「意識障害なし」「運動性起始」「強直」(例:前頭葉てんかん)

上肢の力が入り屈曲・強直となる。手のカタチが特徴的な「ジストニーC」がみられる。

(3)「焦点性」「意識障害不明」「運動性起始」「過運動」(過運動発作 例:前頭葉てんかん)

夜寝ているときに突然暴れるということで、寝ぼけと間違われやすい。家族内発症がある。

(4)「焦点性」「意識障害あり」「運動性起始」「自動症」(例:側頭葉てんかん)

従来の複雑部分発作。自動症として 発作時発語、発作時唾吐き

*右利きの場合、優位半球は左であることが多い。→したがって言語野も左。発作時に発語があれば、発作は右の側頭葉が起始する側頭葉てんかんを示唆する。

自動症は時に、発作と同側に出現する。これも局在判定の判断材料となる。

(5)「焦点性」「意識障害なし」「非運動性起始」「感覚性」(例:頭頂葉てんかん)

体性感覚前兆。前兆も発作と扱う。

*前兆と発作の使い分け

傍から見て症状が発生していない→前兆、症状が出現している→発作

(6)多彩な症状がある場合、てんかんではない場合が多い。ビデオ記録が参考になる。

心因性非てんかん発作(PNES)

2017年に改訂されたてんかん分類のビデオ脳波を交えたわかりやすい講義でした。

しばらくは従来の分類と混同してしまいそうですが、習得を目指したいです。