事故責任と関連法規

万一、不幸にして事故が発生した場合には、事故に関係した人々に様々な法律が適応されることになります。

これは、実際にME機器を使用した記録者はもとより、ME機器を製作販売した医療機器メーカーにも適応される場合があります。しかし、ひいき目に見ても、医療機器メーカーよりもME機器を使用した記録者の方がリスクマネージメントが勝っているとは思えませんので、少なくとも、ME機器を実際に取り扱う記録者は、幾つかの法律をよく認識し、常に、様々な意味でのリスクマネージメントを考えていなくてはなりません。

 

 

事故を起こさないためにはどうしたらよいか?

リスクの洗い出し  発見・分析・評価  管理・制御

万一、事故が起こった場合にはどの様に対処すればよいか?

早期発見・早急な対処・報告・事故検証と評価

誰が最終的な責任を負担しなければならない法的義務を負っているのか。

 

病院や診療所でME機器を活用している医療関係者は、医療法や薬事法、他の様々な関係法規を通してよく学習されていると思いますが、特に、大学や企業の研究室でME機器を活用している研究者は、リスクマネージメントの一環として、次に挙げる幾つかの法律をよく理解し、ME機器を有効に活用していただきたいと願っています。

 

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民法第709条《不法行為責任》 「故意又は過失に因りて他人の権利を侵害したる者は之に因りて生したる損害を賠償する責に任す 」

ME機器を使用した記録者が故意または過失により被験者(または患者)の権利を侵害した場合には、賠償責任(過失責任)が生じます。

 

民法第570条《瑕疵担保責任》 「売買の目的物に隠れたる瑕疵ありたるときは第五百六十六条〔用益的権利・留置権・質権がある場合の担保責任〕の規定を準用す但強制競売の場合は此限に在らす」

ME機器に隠れた瑕疵<かし>(直ぐには発見できないような物理的欠陥)が存在する場合には、故意・過失を問わず、医療機器メーカーが負わなければならない責任(瑕疵担保責任)が生じます。

 

民法第415条《債務不履行》 「債務者か其債務の本旨に従ひたる履行を為ささるときは債権者は其損害の賠償を請求することを得債務者の責に帰すへき事由に因りて履行を為すこと能はさるに至りたるとき亦同し」

例えば、購入したME機器の調子が悪く、修理しても直らない様な場合、契約の目的に従ったME機器が利用者に渡されていないことになります。この様な場合も含めて、契約がきちんと履行されないことを債務不履行といいます。債務不履行の場合には、もちろん、きちんと安全に動作するME機器を渡しなさいと請求することも可能ですし、契約を解除した上で、もし損害が発生しているならば、その賠償を請求することも可能です。

 

民法第715条《使用者責任》 「或事業の為めに他人を使用する者は被用者が其事業の執行に付き第三者に加へたる損害を賠償する責に任ず。但使用者が被用者の選任及び其事業の監督に付き相当の注意を為したるとき又は相当の注意を為すも損害が生ずべかりしときは此限に在らず。使用者に代はりて事業を監督する者も亦前項の責に任ず。前2項の規定は使用者又は監督者より被用者に対する求償権の行使を妨げず」

被用者(主に雇い主)に代わりME機器を使用した記録者を直接指揮監督していた者は、代理監督者(工場長、現場監督、支店長、部・課長等のように、実際に使用者に代わって被用者の選任・監督のどちらか一方または双方を行う者)として賠償責任を負うことになります。

 

民法第719条《共同不法行為》 「数人が共同して不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自連帯してその賠償しなければならない。数人がある行為をしてその中の誰が不法行為をしたか解らないときも同様である。教唆者及び幇助者はこれを共同行為者とみなす。」

注意義務違反の関与者全員(援助したヒトも含む)が連帯して責任を負い、その損害を賠償しなくてはなりません。

 

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製造物責任法(PL法)第3条《製造物責任》 「製造業者等は、その製造、加工、輸入又は前条第三項第二号若しくは第三号の氏名等の表示をした製造物であって、その引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が当該製造物についてのみ生じたときは、この限りではない」

医療機器メーカーに過失がなくても、販売したME機器に欠陥があれば、医療機器メーカーは賠償責任を負うことになります(無過失責任)。ちなみに、ME機器を使用した記録者の立証負担を軽減することが製造物責任法の基本的な趣旨です。

 

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刑法第209条《過失傷害》 「過失により人を傷害した者は、三十万円以下の罰金又は科料に処する。前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない」

刑法第210条《過失致死》 「過失により人を死亡させた者は、五十万円以下の罰金に処する」

法律用語の過失とは、予見可能性が存在していることをいいます。つまり、一般人であれば「Aという行為はBという結果になるだろう」ということを予見できるような場面において、あるヒトがそのことを予見せず、Aという行為を行った場合、そのヒトはその事実につき過失があると認定されます(客観的注意義務違反)。

なお、Bという結果が発生する可能性を予見していたにも関わらず、その可能性を誤って低く評価した場合(例えば、「Aという行為はBという結果になるだろうが、気にする必要はない」など)、未必の故意とよばれ、故意があったと同等に扱われます。

 

刑法第211条《業務上過失致死傷等》 「業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする」

法律用語の業務とは社会生活上反復継続して行われることをさしますから、心電計を使って心電図を記録することも、自動車を運転することも、食事をとることも、排便することも、すべて業務に該当します。