脳の高次機能

 

脳の高次機能とは、単純な感覚入力や運動出力を除く意識的で統合的な精神機能です。これは言語とか抽象的思考の様に、ヒトに特有の機能まで含む、広い意味での精神機能です。

高次機能に大きく関与している大脳皮質は、連合野と呼ばれている領域です。連合野は、大脳皮質に達した体性感覚や視覚、聴覚といった異なった感覚入力に対して、記憶情報の照合などの高次処理を施し、それに基づいた運動や行動を選択したり、決定したり、企画構成したりしています。

 

また、異なった感覚入力を関連付けや感覚と運動を関連付けなどにも連合野は関っています。

a) 前頭前野(前頭連合野)
前頭前野は側頭、後頭、頭頂連合野、視床背側核、視床下部、大脳辺縁系などから直接神経活動が投射されます。

ヒトの前頭前野は古くから知性の座と考えられており、この部分が障害されると、行動が疎外され、無感動になり、社会的な人格が欠如するようになるといわれています。

なお、アルツハイマー病の患者ではこの部分の顕著な萎縮が観察されます。

b) 側頭連合野

ウイルニッケ言語中枢が含まれるため、この部分が障害されると、感覚性失語症や神経聾になります。

また、この部分は視覚連合野と密接につながっているため、この部分が障害されると視覚性失認症になります。

c) 頭頂連合野

視覚と体性感覚に関連した空間認知に関与しています。この部分が障害されると、立体失認、半側空間無視、身体失認、失効などがおこります。

 

注意は、脳幹網様体賦活系と大脳皮質を中心とした機構によって維持や調節が行われています。

記憶は、大脳辺縁系の海馬・脳弓・乳頭体を中心とした papez回路や間脳・前頭葉などが大きく関与しています。

また、より具体的な運動の選択・企画・構成・準備などに関与している部位は補足運動野と運動前野と呼ばれている領域です。これらは、連合野、または、大脳基底核や小脳(視床経由)から広汎な入力を受け取って高次な処理を施し、運動野へ出力しています。

 

 

したがって、高次機能をつかさどる大脳皮質の中心は連合野にあるのですが、大脳辺縁系や大脳核・脳幹・小脳といった脳の広範な部位も、高次の情報処理に関与している事がわかります。

 

【認知】

認知(cognition)とは様々な情報を脳に取り入れて、それらに基 づいて、環境に適応していく為の脳内情報処理過程、すなわち知識の獲得過程を意味しています。

 

【注意】

注意とは感覚入力に集中し、目的によってその入力に優先順位をつけ、どこまでの処理をおこなうかを決定する過程をいいます。

事象関連電位検査で特に重要な注意は選択的注意です。

選択的注意は、注意を向けた刺激だけがはっきりと認知され、それ以外の刺激はぼんやりと認知されるか、まったく認知されなくなるといったもの、即ち、刺激の在り方には変化がないにも関わらず注意の仕方によって認知内容が変化するという注意機能です。

 

【記憶】

記憶には

(1) 記銘(記憶する仕組み)

(2) 保持・貯蔵

(3) 再生・想起(利用する仕組み)

という3つの側面があると考えられています。

様々な感覚入力は、物理的な信号から心的なものへ変換された後に、感覚記憶(sensory memory)と呼ばれる機構に短時間保持されます。この感覚記憶の機能は、高次な処理が必要な感覚入力が選択されるまで、受容された感覚入力を一時的に保存すると考えられています。