物語論(ビルディングスロマン論を自分流に簡素化)


暇な時、自分なりに物語論整理してみた。古典的なビルディングスロマンの論を簡素化したの。

ステージ→地下・地上・天界

登場人物配置→子供(主人公)・良い親(親鳥)・悪い親(敵)・精霊(天界にいる)

これで考えると非常にスッキリする。

例えば名作「トーマの心臓」(萩尾望都)に当てはめると、

子供(主人公)→ユーリ
良い親(親鳥)→オスカー
悪い親(敵)→サイフリート
精霊(天界にいる)→トーマ
精霊ダッシュ(精霊を写して地上に降りてきた使者)→エーリク

 となる。精霊ダッシュを配したのがこの作品のオリジナリティ。


地上は子供(主人公)が生きていく世界。

地下は悪い親(敵)が主人公を支配して引きずり込もうとする世界(子宮の象徴)。

天界は精霊のいる精神的な浄化の世界。

物語の最終目的はひとつ、子供(主人公)が自立(精神的成熟)すること。


■ 良い親(親鳥)は子供(主人公)の自立をうながす愛の持ち主。(良い親は地上でしっかりと生きるすべを知っており、子供(主人公)を地上(まっとうな現実 の世界)につなぎとめようとする)未熟な子供(主人公)を守りつつ適度な距離をとろうとするやさしいキャラとして登場することがほとんど。

■悪い親(敵)は子供の自立を妨げ自我を殺し、支配して自分の中に取り込もうとする愛の持ち主。支配的かつ依存的。主人公にとって最も強敵ラスボスとなる。

■精霊(天界にいる)は純粋な子供のまま地上(現実)に適応できずに壊れて失われ、天界でしか存在できなくなった者。主人公と共鳴し、精神の浄化と導きを担当する。主人公にとって失われた存在となることが重要。

子供(主人公)が物語中の苦難をへて、

自立成功→良い親となる。
自立失敗→悪い親となり次世代の子供の敵となる。
子供のまま壊れる→地上で失われて精霊になる。

※子供が良い親となったらハッピーエンド(スターウォーズEP4〜6ルーク)
 悪い親になったらバッドエンド(EP3アナキン)

萩尾望都作品で傾向として強いのは、物語ラストで子供(主人公)が良い親(ハッピーエンド)にも悪い親(バッドエンド)にもならず、精霊になってしまう。
子供で無垢なまま、現実に対処しきれず壊れる。よって、ラストで主人公が消失してしまうことが多い。(ポーの一族、スターレッド、銀の三角、マージナル、バルバラ異界 等)

(※ただし先生の最近の作品(「イグアナの娘」「残酷な神が支配する」以降)は、主人公が成熟しきらずに精霊になってしまう従来の展開からの脱却を試みている挑戦と苦心のあとが見られます)

ウチの曹操物語シリーズだと、

子供(主人公)→曹操
良い親(親鳥)→夏侯惇
悪い親(敵)→袁紹
精霊(天界にいる)→郭嘉。

※精霊は地上では生きていけないため、夭折・病弱・別離・奔放すぎ・無垢すぎ(ハクチ)など、何らかの形で失われている(※主人公にとって)ことが物語上必須。
※悪い親は最初愛の顔をして主人公に近付く。

以上、自分流に超簡素化した、ビルディングスロマンの物語論でした。

ち・な・み・に

子供(主人公)が、本来物語の最終目標である自立(精神的成熟をとげて大人になる)をまったく、ぜんっぜん果たさずに、地上(現実)で失われて精霊になってしまう最強の物語は、ジャン・コクトーの「恐るべき子供たち」だと思う。
萩尾望都先生の漫画版も、もちろん。

ちなみに2

「恐るべき子供たち」解説記事
※ネタバレあり。こちらのサイトよりhttp://childrengarden.web.fc2.com/index.html
をこの物語論の登場人物配置に当てはめると、

子供(主人公)→ポール
良い親(親鳥)→ジェラール
悪い親(敵)→エリザベート
精霊(天界にいる)→ダルジュロス
精霊ダッシュ(精霊を写して地上に降りてきた使者)→アガート

となります。
おお、この作品でも精霊ダッシュが存在しますな(・∀・)


(※付記補足)

ビルディングスロマンの最終目的はひとつ、
「主人公が自立すること」です。
この自立とは、物理的・経済的な自立ではなく、精神的な成熟のことです。
ですから、例えば病身で他人の世話にならないといけなくても、この意味で自立することは可能です。

で、物語のハッピーエンドは、子供(主人公)が自立に成功して次世代の「良い親」となること(実際に子供を産む必要はなし。精神的なことです)と書きました。

なのですが、その先がある場合があるのです。

スーパーハッピーエンドとでも言うべき終り方が。

それは「スター・ウォーズEP6」にわかりやすいのですが、
精神的に成長して自立した子供(主人公)が、敵である「悪い親」を教化して、「悪い親」を「良い親」にしてしまう、という例です。

物語の敵(ラスボス)である「悪い親」は、もとはといえば前世代の子供(主人公)が自立に失敗して「悪い親」になったのであって、ハッピーエンドを終点とすれば、まだ自分の物語が終っていない状態です。

ですから、「良い親」になった主人公が、悪い親(敵)に無条件のゆるしと愛を与えることによって、敵を成長させ、自立(精神的成熟)をうながし、前世代の主人公であった敵の物語をハッピーエンドに導くことがある。

スーパーハッピーエンド。

ここまでいくともう、物語力ハンパないです。
息子であるルークが「悪い親」であったダース・ベイダー(アナキン)をゆるして無条件の愛を与えることでダークサイドから救う物語、「スター・ウォーズ」が人気あるわけですね。






戻る