Q0328 社会は「競争原理」だから…
 社会に出ると実際には競争原理で動いている人たちが多いと思うんですが、小さいときからある程度競争に慣らしておかなくても大丈夫なんでしょうか?

A0328
 このような質問がいつもあります。これは1つ重要なことを見逃しています。すなわち、競争的な対人関係に比べて、協力的な対人関係は、より成熟した、進歩した対人関係だということです。つまり、協力的な人間は、もし競争しなければならないとなれば競争することもできます。一方、競争的な人間には、協力する能力が育っていません。私はよく「人生はゲームだ」と言います。その中に競争ということが含まれることがありえます。ゲームとしての競争ですね。例えば、将棋でも囲碁でもゲームですが、同じように人生もゲームかもしれません。人生というゲームを楽しくする3つのコツがあります。1番目に、ルールを守ること。将棋であれ囲碁であれ野球であれテニスであれ、一方がルールを守らないと両方が面白くなくなります。ですから、ルールを守るというのは大事だと思います。2番目に、真剣にプレーすること。ダラダラ、何だかイヤそうにゲームをしたのでは何も面白くないです。本人も面白くないし相手のプレーヤーも面白くないです。それと同じように、人生というゲームも、真剣にプレーすればとても面白いですが、ダラダラとやったのでは面白くない。3番目に、深刻にならないこと。その勝敗の結果にこだわって、そのために感情的にならないこと。将棋に負けたからといって、首を吊って自殺をしたというとこれはおかしな話です。これと同じように、入学試験に失敗したからといって、就職に失敗したからといって、会社が倒産したからといって、首を吊って死ぬのも、同じだけおかしな話だと思うんです。
 競争原理にもとづいて行動する人は、敗北に弱いんです。ところが、協力原理にもとづいて行動しながら、ときにゲームとして競争をしなければならない場面でしている人は、勝敗の結果にこだわりません。勝っても面白かった、負けても面白かった、真剣にプレーしてとても楽しかった、ということになります。
 ですから、実際に社会に出たときには、協力原理でもって育児をされ教育をされた子どものほうが、はるかに生活力があり、根強いわけです。